会員様にとって最適な選択とは

支援員のKです。

今回は、私が支援員として独り立ちして以来、担当している会員K様のお話です。K様は入会当初から乳腺ガン(ステージ4)を患っており、担当医師より「根治は難しいが、進行を遅らせることは出来る」と、抗がん剤治療を何度か提案されましたが、抵抗があるご様子でした。しかし、日に日に痛みと倦怠感が増し、また生きていたいとの意思が強くなったためか抗がん剤治療を始めることになりました。治療の効果でガンの進行は抑制されましたが、副作用が強く、日常的に嘔吐や倦怠感、さらには意識混濁などの症状が続いたため入居施設から不安定な状態が続いていると連絡があり、緊急支援でかかりつけ病院の救急外来に駆け付けることもありました。それでもK様の意思は強く、抗がん剤の種類を変更するため、セカンドオピニオンも受けました。確かにガン抑制の効果はあるものの、副作用で遂に歩くことすら出来なくなり、疲れ果てたご様子でした。そんなK様を見ていられず、K様、施設担当者、きずなの会で話合いの場を設けました。K様は「わずかな希望をもって抗ガン剤治療を受けてきたが、副作用による日常的な辛さに疲れてしまった」と話される一方、「それでもあきらめたくない」と複雑な心境を吐露されました。

それから数日後、「抗ガン剤治療をあきらめることにした」と連絡がありました。その答えを出すまでにどれほど悩まれたことでしょう。

私は病院へ連絡をし、K様に同行して担当医師と話し合った結果、抗ガン剤治療は行わないことに決まりました。

抗ガン剤治療をやめ、緩和ケアの方向で治療することになりましたが、副作用による症状は残っており、その症状を治療するため何度か通院に付き添いました。すると体調も戻ってきて、以前よりも元気な表情になり、日増しに心身共に明るくなっていきました。

今では手の震えもなくなり、大好きな折り紙もできるようになるまで回復され、歩くことや会話などもできるようになりました。

抗ガン剤治療をやめたことによりガンの進行は以前より早まっているのかもしれませんが、ご本人が選択された道を尊重し、今をいかに幸せに過ごしていただくことができるのかを考え、支援していくことが我々きずなの会の役目だと思っております。

今後も、何がご本人にとって最適な選択なのかを考え、支援していきます。

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